トカゲの尻尾
こんなことを言ったら哀れな人だと思われるかもしれないけれど、私は今まで生きてきて本当の意味で人を好きになったことはないのだと思う。
それなりに交際はしてきたはずなのに、恋愛ソングを聞いたって心に浮かんでくる人はいないし、涙が出るくらい忘れられない人もいない。
私にとって恋愛はいつだって優先順位の最下層に位置する。生活が第一優先。自分の体力や精神が揺らぎ、これ以上何かが起きたら崩壊すると思ったらすぐに関係を途絶えさせてしまう癖がある。いわばトカゲの尻尾のようなものである。
恋愛は生活の一部というよりも、生活プラスアルファの位置に存在すると言った方がしっくりくる。あってもなくてもどちらでも良くて、余裕があるときしかそっちまで手が回らないという感じである。
それなのに、憧れる気持ちはあって何度も同じことを繰り返してしまう。こんな恋愛に未来はないのだと思う。
本当は、辛い時に頼れたらいいと思う。でも私にはそれができない。相手を心から信用することができない。とことん臆病なんだと思う。傷つくのが怖いから、いなくなられる前に私がいなくなりたいと常に思っている。他人と深い関係になればなるほど怖くなるのだ。
だから、恋愛で世界が回っているような友達をみると皮肉ではなくて心から羨ましいと思う。愛を知っていて、例え傷つくことがあっても、そこに時間とエネルギーを沢山捧げている、私には到底できそうにない。
こんな私にもいつか素敵な恋愛ができるだろうか、それはいつなのか、傷を負うことだけが恐怖でたまらない。